ムソルグスキー・讃 †
もともとロシアの音楽は大仰な感じがしてあまり好きになれなかったんだけど、数年前にショスタコーヴィチの物凄い邂逅があって、それ以降心の底からロシア音楽が大好きになった。ボロディン、ムソルグスキー、チャイコフスキー、ストラヴィンスキー、ラフマニノフ、プロコフィエフ…みんな繋がっている…私の中で。
こうして私の好きなムソルグスキーを並べてみると、胸を打つほどに友人の手によって手助けされ、慈しまれ、救われてきた音楽たちであることがわかる。仮にも音楽の形は不完全であったかもしれないけれど、友情と共に蘇生したそのコンテクストを追っていくことはロシアの根源、音楽の根源、人間の根源へと繋がっていくに違いない。
ムソルグスキーも、そしてその悲劇を果敢に受け継いだ後の偉大なロシアの音楽たちも、その味は西側には到底理解できない程極めて「苦い」。それがロシア音楽の背負った伝統なんだ。あまり喜んで人におススメする音楽ではないかもしれないけれど、同じように敢えて耳を傾ける人には人生の心の友ががが。
ムソルグスキーの愛聴盤メモ †
オムニバス作品集 †
ムソルグスキー作品集、ナターリャ・ゲラシモーヴァ、エフゲニー・スヴェトラーノフ、ロシア国立交響楽団、1994年RCA。 †
- スケルツォ 変ロ長調
- 古典様式による交響的間奏曲 ロ短調
- 歌劇「ボリス・ゴドゥノフ」より
- 歌劇「ホヴァンシチナ」より
- 第4幕第2場、荘厳な行進曲
- 第4幕第2場への間奏曲(追放されるゴリツィン公の出発)
- 第4幕第1場、ペルシャの女奴隷たちの踊り
- 歌劇「ソロチンスクの市」より
- 歌曲集「日の光もなく」(ななんとスヴェトラーノフ編曲!)
- 壁に囲まれて
- きみは私に気づかなかった
- 空しき喧噪の日は終わり
- 倦怠
- 悲歌
- 河にて
- ムソルグスキーの粗野で繊細な音楽にそれぞれ注意深く編曲者名がクレジットされている。リムスキー=コルサコフ、リャードフ、スヴェトラーノフ編曲。
ストコフスキー編曲によるムソルグスキー名曲集、オリヴァー・ナッセン、クリーヴランド管弦楽団、1995~96年DG。 †
- 組曲『展覧会の絵』(ストコフスキー編曲)
- 交響組曲『ボリス・ゴドゥノフ』
- 歌劇『ホヴァンシチナ』第4幕への前奏曲
- 交響詩『はげ山の一夜』
- この演奏は本当に胸を打たれる。ムソルグスキーを深く知るのに絶好のアルバム。
ムソルグスキー作品集、ゼハヴァ・ガル、クラウディオ・アバド、ロンドン交響楽団、ロンドン交響楽団合唱団、リチャード・ヒコックス、1980年RCA。 †
- 歌劇『ホヴァーンシチナ』~第4幕第2場への間奏曲「追放されるゴリツィン公の出発」(リム-スキー=コルサコフ編曲)
- ヨシュア(リムスキー=コルサコフ編曲)
- 歌劇『サランボー』~巫女たちの合唱(リムスキー=コルサコフ編曲)
- スケルツォ変ロ長調
- センナヘリブの敗北(リムスキー=コルサコフ編曲)
- 聖ヨハネ祭の夜の禿山(交響詩『禿山の一夜』原典版)
- 歌劇『アテネのオイディプス』~神殿の人々の合唱(リムスキー=コルサコフ編曲)
- 歌劇『ホヴァーンシチナ』~前奏曲『モスクワ河の夜明け』(リムスキー=コルサコフ編曲)
- 凱旋行進曲『カルスの奪還』(リムスキー=コルサコフ編曲)
ムソルグスキー作品集、エレーナ・ザレンバ、クラウディオ・アバド、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、プラハ・フィルハーモニー合唱団、1993年DG。 †
- 交響詩「はげ山の一夜」(原典版)
- 合唱曲集(リムスキー=コルサコフ編曲版)
- センナヘリブの陥落
- 歌劇「サランボー」~巫女たちの合唱
- 「アテネのオイディプス王」~神殿の人々の合唱
- ヨシュア
- 組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編曲版)
組曲『展覧会の絵』 †
ピアノ原曲版 †
- スヴィアトスラフ・リヒテル、1958年ソフィア・ライヴ、PHILIPS。
- ミハイル・プレトニョフ、1989年VirginClassics?。
- ヴァレリー・アファナシエフ、他にピアノ小品が5曲付録、1991年DENON。
- リーリャ・ジルベルシュテイン、1993年DG。
ピアノ原曲版で感動したことが一度もないのはなぜだろう…
ラヴェル管弦楽編曲版 †
- セルゲイ・クーセヴィツキー、ボストン交響楽団、1943年NAXOSHistorical。
- ラファエル・クーベリック、シカゴ交響楽団、1951年MERCURY。
- エフゲニー・スヴェトラーノフ、ソヴィエト国立交響楽団、1974年Melodya。
- ゲオルグ・ショルティ、シカゴ交響楽団、1980年旧LONDON。
- クラウディオ・アバド、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、1993年DG。
- セルジュ・チェリビダッケ、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、1993年EMI。
ストコフスキー管弦楽編曲版 †
たしかに耳には心地良くないかも知れない。全てが痛切にバラバラに引き裂かれている。でもこの曲が亡き友への鎮魂のレクイエムであることをストコフスキー版はよく伝えていると思う。
- レオポルト・ストコフスキー、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団、1966年頃、旧LONDON。
- オリヴァー・ナッセン、クリーヴランド管弦楽団、1995~96年DG。
2002年ジュリアン・ユー編曲版 †
- 岩城宏之、オーケストラ・アンサンブル金沢、2003年Waner。
交響詩『禿げ山の一夜』 †
原典版(『聖ヨハネ祭の夜の禿山』) †
- クラウディオ・アバド、ロンドン交響楽団、1980年RCA。
- クラウディオ・アバド、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、1993年DG。
- クラウディオ・アバド、グスタフ・マーラー・ユーゲント・オーケストラ、1994年ザルツブルグ音楽祭自主制作盤。
- エサ=ペッカ・サロネン、ロサンゼルス・フィルハーモニック、2006年DG。
リムスキー=コルサコフ編曲版 †
- アンドレ・クリュイタンス、フィルハーモニア管弦楽団、1958年EMI。
- ゲオルグ・ショルティ、ロンドン交響楽団、1965~66年DECCA。
- エフゲニー・スヴェトラーノフ、ソヴィエト国立交響楽団、1974年Melodya。
- ヴォルフガング・サヴァリッシュ、バイエルン国立歌劇場管弦楽団、1987年EMI。
ストコフスキー編曲版 †
- レオポルト・ストコフスキー、ロンドン交響楽団、1967年旧LONDON。
- オリヴァー・ナッセン、クリーヴランド管弦楽団、1995~96年DG。
歌曲集『死の歌と踊り』(ゴレニシチェフ=クツゾフ詩:1.子守歌/2.セレナード/3.トレパーク/4.司令官) †
ショスタコーヴィチ編曲版 †
- イリーナ・アルヒーポワ、エフゲニー・スヴェトラーノフ、ロシア国立交響楽団、1989年Vedezia。
- ロバート・ロイド、マリス・ヤンソンス、フィラデルフィア管弦楽団、1994年EMI。
- セルゲイ・アレクサーシキン、ゲオルグ・ショルティ、シカゴ交響楽団、1997年DECCA。
- ディミトリー・ホロストフスキー、ユーリ・テミルカーノフ、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団、2004年Warner。
歌曲集『日の光もなく』(壁に囲まれて/きみは私に気づかなかった/空しき喧噪の日は終わり/倦怠/悲歌/河にて) †
スヴェトラーノフ編曲版 †
- ナターリャ・ゲラシモーヴァ、エフゲニー・スヴェトラーノフ、ロシア国立交響楽団、1994年RCA。
歌劇『ボリス・ゴドゥノフ』 †
リムスキー=コルサコフ改訂、第4幕第1場のみイッポリトフ=イヴァーノフ版による全曲盤 †
- ニコライ・ギャウロフ、ガリーナ・ヴィジネフスカヤ、マルッティ・タルヴェラ、ヘルベルト・フォン・カラヤン、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ソフィア放送合唱団、ウィーン国立歌劇場合唱団、ウィーン少年合唱団、他、1970年旧LONDON。
ロイド=ジョーンズ校訂による原典版(第4幕第1場は1869年初稿と1874年決定稿の両方を収録)による全曲盤 †
- アナトリー・コチェルガ、マルヤーナ・リポヴシェク、クラウディオ・アバド、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ブラチスラヴァ・スロヴァキア・フィルハーモニック合唱団、他、1993年SONY。
抜粋盤 †
- (5曲、ドイツ語による歌唱)ゴットロープ・フリック、ルドルフ・ショック、ヘルガ・ヴィスニエフスカ、エリカ・ケート、マルッティ・タルヴェラ、ロヴロ・フォン・マタチッチ、ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団、同合唱団他、1965年DENON。
ストコフスキー編纂による交響組曲『ボリス・ゴドゥノフ』 †
- 1. Outside the Novodievichi Monastery
- 2. Coronation of Boris
- 3. Monks chanting in the Monastery of Choudov
- 4. Siege of Kazan
- 5. Outside the Church of Saint Basil - The Idiot foretells the fate of Russia - The starving crowd ask Boris for bread
- 6. Death of Boris
- オリヴァー・ナッセン、クリーヴランド管弦楽団、1995~96年DG。
第3幕、序奏とポロネーズ †
- エフゲニー・スヴェトラーノフ、ロシア国立交響楽団、1994年RCA。
歌劇『ホヴァーンシチナ』 †
リムスキー=コルサコフ補筆完成による全曲盤 †
- ボリス・フレイドコフ、マルク・レイゼン、ウラディーミル・ウリヤーノフ、ボリス・ハイキン、レニングラード・キーロフ劇場管弦楽団&合唱団他、1946年NaxosHistorical?。
- 『ホヴァーンシチナ』より3つの抜粋、付録
- ナジェージダ・オボウホーヴァ、パーヴェル・アンドレイエフ、他、1935~1951年
- 歌曲選集、付録
- マルク・レイゼン、ソフィア・プレオブラチェンスカヤ、フョードル・シャリアピン、イーゴリ・ゴリン、他、1935~1951年
ショスタコーヴィチ(第1幕~第4幕)、フィナーレはストラヴィンスキーの管弦楽編曲によるパヴェル・ラム編纂完成版による全曲盤 †
- オーゲ・ハウクランド、ウラディーミル・アトラントフ、ウラディーミル・ポポフ、マルヤーナ・リポヴシェク、ハインツ・ツェドニク、クラウディオ・アバド、ウィーン国立歌劇場管弦楽団、同合唱団、スロヴァキア・フィルハーモニー合唱団、ウィーン少年合唱団、他、1989年DG。
第1幕への序奏(前奏曲「モスクワ河の夜明け」) †
- ゲオルグ・ショルティ、ロンドン交響楽団、1965~66年DECCA。
- ゲオルグ・ショルティ、シカゴ交響楽団、1997年DECCA。
第4幕第2場間奏曲(「追放されるゴリーツィン公の旅立ち」、第4幕前奏曲とも呼ばれる) †
- ヘルベルト・フォン・カラヤン、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、1967年DG。
- エフゲニー・スヴェトラーノフ、ロシア国立交響楽団、1994年RCA。
- オリヴァー・ナッセン、クリーヴランド管弦楽団、1995~96年DG。
第4幕、荘厳な行進曲、ペルシャの女奴隷たちの踊り †
- エフゲニー・スヴェトラーノフ、ロシア国立交響楽団、1994年RCA。